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1つ目の落とし穴

Dr. Chika:そうですね。先ほどからお話に出てきているように、患者さんが前回と今回と受けたときにあまり差がなくなってきたところが一番ネックになると思うのです。


治療効果が上がらなくなってきた場合は、まずかかりつけの先生とよくお話をされることが一番だと思います。


そこで自己判断をなさってしまって、もう効かないからという感じで、他にもお仕事の都合とか社会生活のうえでの制約というのもおありだとは思いますが、そこで「何だか効きが悪いような気がしますけど、どうなのでしょうか」ということが言えない方が圧倒的に多いと思うのです。


医者もそこをつかれるとやっぱり痛いのです。「効かなくなってきているけれど、次はこの人に何という手を加えようか」というところがあります。医師側も手を変え品を変えがんばるのですけど、やはり限界というのがどうしても来てしまいます。


ある程度薄くなってきているのですけど、患者さんのゴール設定が非常に高いレベルにあって、そこまでどうしても持っていけない状況であるという状態に場合は、それを正直にお話しています。


「ここまでは薄くなったけれども、ここから先はかなり難しいと思います」と説明して、患者さんと話し合う訳です。


その結果、治療を終了する場合もありますし、「時間を空けながらの照射でどうなっていくかを見ていきましょう」ということで再開される方もいます。


それでも最終的に、「レーザー照射を行っても改善がみられない」という状況になる方もいらっしゃいます。その時は以前のように、その部位をカバーしてお化粧していただくという方法にどうしても戻らざるをえなくなります。


そこまで医師と患者さんが、お互い話ができる状態かどうかが一番大事なことだと思います。

Dr. Hiro:それが大事ですよね。患者さんが希望するゴールと現在の技術的な限界に差があればあるほどつまずきやすいということですね。

Dr. Chika:治療の途中でつまずきやすい「1つ目のネック(落とし穴)」はそれだと思います。

Dr. Hiro:理想と現実のすり合わせというか、いかにお互いが歩み寄るというか、当然限界がある治療というのは先ほどもお話しいただいた通りなので、最終的にはそういったことも視野に入れておくべきなのですね。


本当のところを受け入れられるように、患者さんも聞きにくいと思いますけど、思っていることを素直に話していただき、それに対して医師もきちんと回答する必要がありますよね。


最終的な段階になってくると、「あなたの場合はまだ改善する可能性があると思われるので、もう少し治療を継続しましょう」もしくは「現状では機械的・技術的にも限界かも知れません。それが明確となるようであればお化粧やカバーマークなどで補強しましょう」という具合になるわけですね。

Dr. Chika:治療の限界については、今の技術的な進歩で立ち向かう医療レーザー機器が徐々にできてくるのだと思います。しかし数年に1回ぐらいしか大きく進歩した機器は出てこないので、革命的な機器が出るまで、まず治療1回休んでいただくというのも手だと思います。


また信頼関係を築いていたと思っていたのに、やっぱり患者さんはそこで無理をしていたのだなというところがあると、ちょっとこちらも話が不十分だったのかなと反省をする点です。

Dr. Hiro:そうですね。医師としては包み隠さず言う準備があるので、できるだけ困っていることをお話し頂けるとより良い治療結果が得られると思います。

Dr. Chika:自分の中のモヤモヤを自己判断で抱え込まないで、吐き出していただけるように医師側も努力した方がいいですね。

Dr. Hiro:最初診察を受けて、ここのクリニックもしくは病院で受けようと決断をするときに、自分との相性も非常に重要です。やり始めて途中で変えるというわけにはなかなかいかないので、そこも含めて選択して頂きたいですね。

Dr. Chika:どうしても皮膚血管腫を治療できる医療レーザー機器のあるところが、ご自分のそばに何カ所もある恵まれた方というのはいないと思うので難しいかもしれませんが・・・。

Dr. Hiro:特にこのレーザー機器は導入している施設が少ないですからね。

Dr. Chika:でもどうしてもという時に、今はセカンドオピニオンという言い方をしますけど、「主治医の先生はこう言っているけれども、ここではどうですか」というのがあっても悪くないと思います。ご自身の判断でおやめになってしまうのが一番もったいないと思います。

医療レーザー治療の落とし穴

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