術後処置
Dr. Hiro:では次に、皮膚血管腫に対して医療レーザー治療を行った後に必要な術後処置(じゅつごしょち)を教えて下さい。照射後には冷却になるのですか?
Dr. Chika:冷却に関しては、特別に病院で用意はしていないので、患者さんに前もって準備しておいて頂いています。
『冷えピタ』とか『熱さまシート』などでもいいのですけど、治療後の皮膚上から乗せることになるので、なるべく皮膚表面には薬剤が影響しないもののほうがいいと考えています。
当院では保冷材をハンカチに巻いて当てていただいています。治療後に痛みが全くない状態であっても、早く冷やした方が皮膚の表面に及ぼす熱の影響が最小限に済みます。ですから、やはり照射後は冷やした方がいいです。
その点に関しては、患者さんにご協力をいただきながら当院では行っています。
Dr. Hiro:照射をして軟膏を塗って冷やして、その後は何か表面にテープを張ったりガーゼを張ったりしますか。
Dr. Chika:そうですね。順番としては、まず軟膏を塗ってガーゼを当ててしまいます。そしてその上から冷やしていただいています。
Dr. Hiro:なるほど。そのガーゼは、翌日以降は自宅で交換するのですか。
Dr. Chika:ガーゼ必要になるかどうかは、治療後の経過によります。
まず1回目の治療という方で、かなり皮膚表面に近い部分に血管がある方では、水疱を作ることがたまにあります。このような場合、水疱ができた時にどういうように対処したらいいかについて説明します。
まず自然につぶれるのを待った方が本当はいいのですが、あまり大きい水疱ができていますと、機械的な刺激で取れてしまうことがあります。またそうなるとかなりの痛みに繋がります。
その場合、清潔な方法で水疱の中のお水だけを抜き、また軟膏を塗っていただく方法を説明します。
ただし、大きい水疱になることはまずないです。さっきお話したように5mmのスポットでレーザー光線が当たっていますから、水疱もやはり1つ1つが上限5mmぐらいという感じです。
Dr. Hiro:それは全部の箇所にできるわけではないのですのよね。
Dr. Chika:できるわけではないです。本当にごく1部です。例えば5×5平方センチメートルを打った場合に、2~3カ所にできる程度です。
ただ水疱を1回作りますと、そこは必ずかさぶたになってから治ります。ですから、その点とあと治るまでの期間が大体1週間後前後ということはお話しています。
何かありましたらもちろん対処しますけども、治療後は「次は1カ月後いらしてください」や「3カ月後にしましょう」と次回来院までの期間が長い場合が多いです。
ですので、治療後に水疱を作る可能性は判断できますので、「この辺、多分水疱ができるとおもいます」というお話をしていると、患者さんもまず安心して対処されていただけています。
Dr. Hiro:分かりました。ガーゼ交換はご自分でされるのですか。
Dr. Chika:翌日ガーゼを取っていただき、水疱など何もなければそれでガーゼは不要ということにしています。
Dr. Hiro:それで大丈夫なのですか?
Dr. Chika:大丈夫です。治療後は軟膏を2~3日つけていただきます。その際、触った感じで明らかに触ると痛い部分とか、柔らかい部分、皮が浮き上がっているような部分、水疱までいかないけれどちょっとおかしいというのが、ご自身で自覚されれば、念のためにカーゼを当てて頂きます。
治療部位に刺激などが加わって、すれたり、皮がむけても嫌ですから。しかしほとんどの患者さんでは、実際のところガーゼで保護する必要はありませんね。
Dr. Hiro:そうですか。何も覆わなくていいというのは、患者さんにとって助かりますね。
Dr. Chika:ただ、皮膚の色調だけは変わります。先ほどちょっと触れましたけども、内出血をしているのは治療中から分かります。内出血している状態が、翌日、翌々日になると色が濃くなるのはご経験あると思います。
ですので、赤色、ピンク色だった皮膚血管腫の色調が、ちょっとどす黒い紫っぽい色になりますので、色が濃くなる印象を受ける方が多いです。
2週間ぐらいをピークにそのどす黒い色はなくなっていきますけど、レーザーの影響で表面の皮膚のところにある程度熱の影響が及んでいます。そこは日焼けを軽くしたような感じを予想していただければいいのですが、表面に茶色い色素沈着が起きてきます。
治療して1カ月後には、紫色の状態もしくはどす黒いような状態が消えて、色素沈着のほうがメインになってきます。
Dr. Hiro:なるほど。治療後1ヶ月以内は、その時期によって色調も様々に変化していくのですね。あとガーゼは1日だけで、その後は問題がなければそのままで軟膏処置とかも必要ないのですか?
Dr. Chika:特に必要はありません。