単純性血管種の原因
Dr. Chika:図2、図3は単純性血管腫(たんじゅんせいけっかんしゅ)という病名です。このサイトをご覧の方のほとんどとは単純性血管腫の方ではないかと思っています。やはり今までの経験上、医療レーザー治療を受けられる方の多くがこの病気だからです。
単純性血管腫と一言でいいましても、外から見たときに色の濃淡がかなりあります。ピンク色に近い薄い色から、見たからに血の色だなという鮮紅色、真っ赤な状態。それからもう少し青っぽい感じで紫色に近いような状態。同じ方でも全部の血管腫が同じ色で均一という方はまず少ないと思います。
Dr. Hiro:結構まだらなのですか?
Dr. Chika:はい。いろいろな色が混ざってできている単純性血管腫が多いのではないかと思います。単純性血管腫は大きく2つに分けることができます。
1つは「浅在性(せんざいせい)単純性血管腫」(図2)です。もう1つは「深在性(しんざいせい)単純性血管腫」、もしくは「全層性(ぜんそうせい)単純性血管腫」(図3)です。
浅在性単純性血管腫(図2)は、先ほどの毛細血管拡張症で問題となっていた真皮の上層から中層にかけて血管が分布しています。外側からは真っ赤に見えるかもしくは桃色、薄いピンク色の状態で見えることが多いです。ただし、真っ赤に見えていれば全て浅在性ではなく、外見に反して深在性のこともあります。
Dr. Chika:深在性(全層性)単純性血管腫(図3)は浅在性に比べて真皮の深い部分、脂肪組織のかなり近いところまで、それこそ大中小さまざまな血管が分布している状態です。
医療レーザー治療は皮膚の表面からレーザーを照射しますので、深在性(全層性)ではレーザーの届く距離が問題になってくる場合があります。このタイプの単純性血管腫は、外側から見るとやはり赤みが濃く、紫色に近いものも含まれます。
ただし色と実際の組織像(血管の分布具合)は必ずしも一致しないので、あくまでも参考までという形です。
Dr. Hiro:その方の単純性血管腫が浅在性か、もしくは深在性かというのはある程度診て判断される訳ですよね?
Dr. Chika:そうですね。しかし、ある程度年齢的な変化もあるようなのです。生まれたての赤ちゃんが、生まれつき伴ってきた単純性血管腫が深在性ということもあります。その場合の外見は紫色で、かなり真皮の深いところまで血管が拡がっていることが予想できます。
しかし、例えば成人以降の方で、小さいころから単純性血管腫がありましたという方の場合は注意が必要です。成人の方でも外見の色がすごく鮮やかできれいな方というのは、やはり浅在性ことが多いのです。
ただし加齢と共に血管も育つといいますか、もともと存在した血管に比べてさらに成熟すると径が太くなるという変化もあるようです(血管の成長変化)。ですから、成人以降の方の場合は、血管の太さが均一で、真皮の浅い部分にだけ分布しているという方がだんだん少なくなってまいります。
Dr. Hiro:なるほど。
Dr. Chika:印象としては両方が混ざっている形の方が増えていくのかなという感じです。