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自然に消える血管腫とは?

Dr. Hiro:次に皮膚血管腫に対する医療レーザー治療をいつごろから行うのが、最も好ましいのか。その治療開始の時期について先生の考えをお聞かせ頂けますか?

Dr. Chika:実際の医療レーザー治療に入る前に、「いつごろから治療を開始するのが一番いいのか」ということを患者さんからご質問を受けることは多いです。


小さいお子様の場合についてのご質問が多いのですね。例えば生まれつきで皮膚血管腫(赤あざ)があるという方の場合、「いつになったら治療を開始すればいいのか?」、「あまり小さいうちだと治療自体が逆に良くないのではないか?」といった具合に親御さんも不安です。


そういう面ではかなりご両親は不安の状態でいらっしゃるのですけど、実は治療のお話の前に、もっと大切な点があるのです。


それは「自然消退(しぜんしょうたい=経過と共に徐々に消える、という意味)しうるものかどうかという臨床的な判断」です。というのも、「自然に消える赤あざ」が子供さんの場合は特に多いので、まずここの判断が最も重要です。


その点に関しては、その医療施設が皮膚科なのか形成外科なのかにもよると思います。形成外科の先生であっても、もちろん皮膚科の十分知識なお持ちの方が医療レーザー治療に当たっておられるとは思います。


自然消退が見込めて医療レーザー治療をやる必要がなかった赤あざに対して、万が一レーザー光線を当ててしまったところで害はありません。


しかし、やらなくてよい病気であれば、自然消退が最も好ましいと思います。従って、自然消退があり得るのかどうか、その辺を十分説明しています。


また自然消退もあり得るけれども、早く消したければ医療レーザー治療を早い時期に受けていただいてもいいと思います。

Dr. Hiro:自然消退する赤あざとは、具体的にはいちご状血管腫(苺状、イチゴ状)ということになりますか?

Dr. Chika:そうですね。これをこの場でいうと誤解を招くかもしれないのですが、「正中部母斑(せいちゅうぶぼはん)」といわれる皮膚血管腫(赤あざ)も自然消退します。


正中部母斑というのは、顔の大体真ん中を中心に左右対象に分布する薄いピンク色からあまり赤みの濃いものではない血管腫です。


例を言いますと、眉間からおでこの真ん中にかけてボヤッとあったり、あと首筋の後ろの方、やはり真ん中辺にボヤッとあったりするのがこれに当たります。


このタイプの赤あざは自然に消えますので、スタートを早くしなくても大丈夫です。色調も薄く、本当に表面的な血管腫なんです。浅在性の単純性血管腫のような形を想像していただければいいと思います。


病名を分けているのは単純性血管腫と比較し、臨床的にも組織学的にも異なるためです。もし医療レーザー治療を受けた場合は、病態は浅在性の単純性血管腫と似ていますので、治療効果もいいです。


しかし、治療をしなくても自然に消えることもありますので、1歳、2歳ぐらいまで様子を見ることも多いですね。

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