治療効果を下げる原因とは
Dr. Hiro:先程、治療回数として5回位をひとつの目安に行っていくと、一時的に赤みの改善が滞る時期が来るとおっしゃいましたよね(【単純性血管腫への効果】参照)。そのような状態になった時、レーザー光線をその後照射して効果がさらに出るのかどうかという判断は、どのようにされるのでしょうか?
Dr. Chika:それは難しいところですけども、治療の進め方にちょっとポイントが出てきます。
レーザー光線を1回照射すると、先ほどお話したように血管の中で血液の赤血球が煮えて血管の壁が焼けて、その熱が冷めたときには繊維質で置き換わる形で血管がそこから消失する。1回の照射ごとに、レーザー光線に反応した血管全てが、このように消えるのが理想的です(図5、図6)。
しかし、必ずしもそうはいかないのです。
Dr. Chika:レーザー光線を照射後に、血管としての形はまだ存在するけれども、以前のように血液が流れるような状態ではなくなる血管もあります。つまりまだ残っているのですね。
そのまま治療のペースをトントンと進めていってしまうと、完全にそこの傷が癒えないまま次のレーザー光線を照射してしまうことになります。
中途半端なところで少し血色素(ヘモグロビン)が残っていたりすれば、レーザー光線はそこに反応して、それより深部へは届かなくなります(図7)。
つまり、治療回数が進んでより太い、より深部にある血管にレーザー光線を反応させたい段階で、それよりも浅い部分にある不完全に残っている血管というのは非常に厄介な存在という訳です。
Dr. Hiro:なるほど!!
Dr. Chika:すごく想像しにくいかもしれないので申し訳ないですけども・・・。
Dr. Hiro:要するに皮膚の表面からレーザーを当てて、途中に邪魔なものがあると・・・。
Dr. Chika:そうです。それより深部へは通りません。
Dr. Hiro:なるほど。では、ある程度時間をおくのですか?
Dr. Chika:そうです。時間をおいて完全に傷が癒えて、そこに全く血管がないような状態になると、また深部の血色素(ヘモグロビン)を目指してレーザー光線は進んでいくのです。
Dr. Hiro:では、治療の途中で一時休むというか、期間を空けるのですか?
Dr. Chika:はい。治療間隔を延ばします。具体的には1回レーザー光線を照射すると、最低でも3カ月ぐらいはそこの血管の創傷治癒過程にかかるといわれています。
ですから「3カ月に1回受けましょう」という形で始められて、3回なり5回なり治療が済んだあと、そこから先に行き詰まったときには、最低でも半年間、色調によっては1年間空けましょうとお話します。
治療に通っていらっしゃる患者様の年齢層にもよりますけども、お子様ですと学校の休みのときでないと駄目という方もいますから、なかなか期間の設定は難しくなります。
いずれにしましても、一定期間空けることによってまた治療が効くようになるというのは実際によくあることです。
Dr. Hiro:これは興味深いお話ですね。よく分かりました。