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最新記事【2006年12月07日】

食育とは文字のとおり「食の教育」ということなのですが、現代人の食生活の乱れを改善するため、心身の健康の基礎となる食生活のさまざまな教育・指導を行うことです。


現代人は不規則な生活に不規則な食事、偏食、肥満、生活習慣病の患者は年々増えていく一方で、食育の必要性が叫ばれています。食材に対しても遺伝子組み換えの物やO157、狂牛病など食についての関心は高まり、そこで食育がさらに注目されるようになったのです。


食育は2006年(平成17年)6月に食育基本法として制定されました。食育に関して基本的な事柄を知り、国や公共団体、地域が一体となり協力し食育を推進していくことです。


近年の日本経済の発展で生活水準が向上し食文化が大きく進展するとともに、人々の食に対する意識が希薄になってきたこと、さらに食に対する情報の氾濫もあり食材を選ぶことも難しくなっていることも食育を推進する理由です。様々な問題を抱える食生活は危機と言っても過言ではない状況であり食育は必然性のことなのです。


食育を推進していくために食育推進基本計画が作成されました。この食育推進基本計画を実践していくことで人々の食生活の見直しを期待し、食に関する知識を高め、健全な食生活ができるよう食育で目指しています。


食育を推進していくためには一人一人が食育の意義や必要性を理解しなければなりません。国や公共団体だけではなく、家庭はもちろんのこと学校や保育所、地域など各分野で国民的運動として食育の推進していくことが必要です。


ちなみに食育を広めるための食育日、食育月間があるのを知っていますか?


食育の推進運動の一つですが食育日は毎月19日、食育月間は6月です。平成18年6月から実施される食育月間では「みんなで 毎日 朝ごはん」をキャッチフレーズに全国各地でシンポジウムや講習会、展示会、子供たちもいっしょに農業などに参加できる体験活動など様々なイベントの開催を通して、食育をもっと身近に学ぶことを目的としています。

日本の食料自給率の水準は低く、多くの食料は海外に大きく依存していることも食育での問題です。食育を学ぶことで食料供給の安定には自給率の向上の必要性もあると言うことが分かってきます。


世界から見て豊食と言われる日本ですが、その反面、残飯の量を比べてみると欧州に比べ3倍もあり、そんな現状も食育の中で学び、食糧問題、環境問題など地球規模で考え見ていく目を養っていくのです。


食育では最近の日本の食生活が米食から粉食に変化しつつあることから日本食のすすめも呼びかけています。粉食とは主に「パン」「パスタ」などですが、高タンパク高カロリーのパン食中心の欧米食をしていることで糖尿病の確立を高めてしまこと、食べ物の特徴を知り、食べ物を選ぶということは大切な食育の一つです。


古くから各地域で育まれた食文化も失われつつあり、学校給食などに地産を取り入れるなど食育しています。


食育のアドバイザーはライフスタイルの変化やコンビニの普及、インスタント食品、冷凍食品の激増などの背景があり、そして人々は高カロリーな物を選ぶ傾向があると言います。食育をすることで自分の食生活を見直してほしいと指導しています。食育で古き良き日本の食文化を学び後世に伝えていくことも大切です。


日本ではようやく食育という言葉を聞くようになりましたが、アメリカは日本よりも早く食育について深刻に取り組んでいます。アメリカ版食育の栄養ガイドラインには日本食を意識した内容が多く盛り込まれています。


アメリカでは食育を進めていくにあたり様々な研究が行われ、最近では大豆の研究で心臓病予防になることが分かり大豆ブームが起きていますし、世界では「SUSHI」が大ブームなっていることはご存知でしょう。食育を進めなくてはならない日本、日本の食の素晴らしさを改めて思い知らされますね。

学校教育では「知育」「徳育」「体育」の他に新たに「食育」が取り入れられました。


大人になってから食生活を変えるのは大変なことです。ですが、身体の形成期である幼・小・中の時期からきちんと食育を受け、様々な体験をし、食べる物を選ぶ力を養うことは今の子供たちにとって必要性のあることだからです。


なぜ学校での食育の指導が注目されているのでしょう。それは子供の肥満、偏食、ダイエットのための摂食障害、食品アレルギー、不規則なおやつ、孤食の増加、朝食抜きの子供の増加など食育を進めなくてはならない問題がたくさんあります。


朝食に関しては、大人、子供に関わらず若い世代で朝食を取らない人が増えていて朝食の重要性を知ることも食育の一環です。ある小学校の食育の調査によると朝食をきちんと食べた子は頭の回転が速く、集中力があり、何よりも元気があり、テストの結果を見ても明らかだと言う。


朝食は食育の原点で身体だけはなく脳にとっても大切な栄養補給であり、規則正しい生活を送る第一歩です。食育で小学生の朝食欠食ゼロを目標にしています。


そして最近の子供たちは朝食欠食に加え、夜型生活の場合が多くその生活習慣が学力低下につながっていると指摘もあり、食育を学ぶことで様々な問題を解決できると強調しています。


小学校の食育で朝食の内容を調査をしたところ、驚くべきもので、ケーキやドーナツ、中にはスナック菓子で済ませている子もいたそうです。これが朝食と言えるのか、食育の必要性を感じます。


食育で学んでほしいのは朝食に限らず好き嫌いの多い子供が増えていること、「好きなものだけ食べたい症候群」と言うものです。その現状が小学生の糖尿病や高脂血症など急増している原因であり、食育で現状を変えていかなければ子供の将来がはいったいどうなるのでしょう。


そして個食という同じテーブルを囲んでいながら父親、母親、子供が別々の食事を取っている家庭も少なくないと言う現状も、家庭の食育で見直していく必要があります。

幼稚園や保育所でも食育の指導に力を入れ始めています。幼児期からの食育で生活習慣病の一時予防をするために、保護者にも家庭での食育に協力してもらうよう強く働きかけています。


保育所は乳幼児の重要な時期に生活の多くの時間を過ごす所であることから、保育所での保育計画に食育の視点を盛り込むことを位置づけました。乳幼児期にふさわしい食生活の展開や食習慣を身に付ける食育を重要視しています。


幼稚園や保育所の食育は調理や、昔ながらの日本食である漬物や作り野菜の栽培など取り入れているところが多くあります。


調理に関して子供は料理に対しすごく関心が深く、危ないから避けるのではなく積極的に手伝わせるべきとして食育に取り組んでいます。作ることの楽しさ、出来上がったときの喜び、食べたときの美味しさ、そういうことから食育を学び子供たちの表情も豊かになっていくのです。


保護者には特におやつのあげ方について食育の指導をしています。欲しがる時にあげるのではなく、時間を決めて子供にあった量をあげること、おやつ=お菓子ではないこと、食事だけでなく体に良いおやつあげることで丈夫な体を作ることを親子で食育してほしい。


食育を指導する側は、子供の頃からの習慣はなかなか変えられない、だから0~3歳は愛情やスキンシップを重要視してほしいが、3~8歳は家族一緒に食事をして親子の絆を深めてほしいと言う。


食育のアンケート結果で最近の子供のお袋の味はと聞くとファーストフードやインスタント食品などと答える子供がいます。小さいときから食べて慣れ親しんだ味がお袋の味であり、子供たちの答えがそれではあまりにも悲しすぎますし、食育でいろんな味覚を覚えてもらいたいですよね。


大人だから食育しなくていい訳ではなく、大人だからちゃんと食育して子供に伝えていかなければならないのです。

平成16年7月から学校における食育を充実させるために新たに栄養教諭制度を創設し施行されています。栄養に関する専門性と教育に関する資質を併せ持つ食育の職員です。


子供たちに栄養や食事の取り方について正しい知識を教え、望ましい食習慣を身に付けさせるのを目的とし、食育の充実に期待されています。


栄養教諭の主な仕事は学生への食習慣のアドバイス(必要ならば個別の指導も)、地域でとれる食材を使った給食を作る、給食の食べ残しの処理に伴うゴミ処理・環境問題、学校の食育の取り組みを中心に携わる、家庭への働きかけや地域の体験学習などです。


栄養教諭はバランスの取れた食事や家族みんなで食事を取ることの重要性を保護者や職員へ食育し働きかけ、食育の実践や指導などを行うシンポジウムの開催など積極的な取り組みが望まれています。


食育の指導士など関心を持つ人も増えています。食育の指導士とは子供からお年寄りまで様々な人に栄養バランスの指導や調理、マナー、食文化など食を通し豊かな人間性を向上させるための食育を行うスペシャリストです。


食育の資格も新たにできさらに地域に貢献できるようになりました。食育の知識は学校だけでなく保育士、看護士、弁当屋、農業関係者など幅広く活用できます。食育の推進運動が展開される中ボランティア活動が必要になっていて、その場では特に食育の豊富な知識を持つ人のボランティア精神を求めています。


食育はテレビや雑誌でも取り上げているところは多く、子供たちにも分かりやすく楽しく食育を学べるよう作られています。食育の紙芝居やカルタ(かるた)、絵本も良く見かけますね。


歯医者でも歯と食育は深く関わっているとして推進しています。お菓子ばかり食べていると虫歯の原因になりますし、柔らかい物ばかり食べると噛む力が弱くなり、顎の発達が悪くなることを食育しています。良く噛んで時間をかけてゆっくりと楽しみながら食事し食育しようと呼びかけています。

家庭での食育はまず生活リズムを作ること、早寝早起きをしてきちんと朝食を取ることです。朝食は一日の生活を送るうえでとても大切な基盤になることを全国で食育の推進運動になっています。


食事の時間は食べることの大切さ、楽しさを学ぶ貴重な食育の時間であり、地域や学校、そして家庭が連携しなければ食育できません。


家庭で求められる食育は、やはり手料理で、栄養バランスガイドを基本に献立を立てられるのを理想としています。子供といっしょに料理を作ることも食べ物へ関心を持つことができますし、本物の素材の味を知ることができる食育です。魚や肉などの食材がどのように私たちの手元に届くのか、そういうことを知ると命や自然環境などへの配慮も食育で気付いてくるものです。


食育の活動と言えば、スローフードです。スローフードとは各地域ならではの地産の食べ物を使い調理し、ゆっくりと食べることを守ろうという運動で、これも食育には欠かせません。


食育の研究の結果、よく言われる「キレる子」は食生活も深く関わっているそうです。食育の知識がなくファーストフードや添加物の多く入った加工品などバランスの悪い食事ばかりしていると、栄養バランスが乱れ脳細胞への影響も考えられると言われています。それを阻止してあげるのは健全な食生活を送るための食育と親の子供に対する愛情ですね。


食育で食事のマナーも見直されています。いただきます、ごちそうさまは当たり前のことですが作ってくれた人、食材への感謝の気持ちを伝える食育です。


お箸が上手に使えること、お茶碗を持って食べることはテーブルマナーの食育。野菜や魚、いろんな色の食材を食べたり、残さず食べたりすることは食べ物へのマナーの食育。きちんと座りテレビを消して家族みんなで会話を楽しみながら時間をかけて食事をする、当たり前のようで出来ていない、だから今こそ食育なんですね。

食育のススメ