アフターケア
Dr. Hiro:皮膚血管腫の医療レーザー治療後も、やはりサンスクリーン剤(日焼け止め)は必要なのでしょうか?
Dr. Chika:日焼け止めは必要ですね。しかし、1回刺激を与えたところが、炎症を生じて、その結果色素沈着になる過程というのは、もうどうしょうもないですよね。
Dr. Hiro:そうです。皮膚の性質上、避けられないですね。
Dr. Chika:日焼け止めをぬったところで、ある程度出てきてしまう色素沈着はどうしょうもないです。ですから日焼け止めは治療後すぐ開始するのではなく、もっと先でもいいという考えもあります。
例えば初めての方だと1カ月後に診察に来ていただくのですが、あまりにも茶色が濃いという場合は積極的に日焼け止めをして、早く消えるように、またそれ以上黒くならないようにして頂きます。
それとは別に、海や山によく行かれる方、ゴルフをされる方は・・・・・
Dr. Hiro:紫外線の強いところですね。
Dr. Chika:そういう方ですと普通の方よりはケアを十分にしていただきたいという意味で、全くリスクがないと思っても「日焼け止めを使ってください」と強く言ってはいます。
しかし一般の方の場合は、実際のところはなくてもいいと思います。
Dr. Hiro:この治療で使うレーザー光線の波長は、メラニンにも吸収される部分がある程度あると思いますけど。
Dr. Chika:ある程度ありますね。
Dr. Hiro:ということは、色素沈着があまりにも強いと、治療間隔が延びるということはあり得ますよね。
Dr. Chika:あります。先ほどの間隔を延ばすところのポイントのひとつに、「前回レーザー光線を当てたはずの血管が消し切れていない(【治療効果を下げる原因】参照)」、というものがありましたよね。
その考え方と同じです。皮膚の表面から見て、一番浅いところにある障害物がなくならないとそれより深部へレーザー光線は届かないわけです。
色素沈着は皮膚の表面にある表皮にメラニン色素が沈着している訳ですから、その状態ではレーザー光線の深達性(しんたつせい)が悪くなり効果が低くなるわけです。ですから、色素沈着がない状態に早く持っていかないと次の治療に差し障るわけです。
Dr. Hiro:色素沈着はなければないに越したことはないわけですね。
Dr. Chika:そうです。
Dr. Hiro:では、自覚がある方は日焼け止めをして頂いたほうがいいですね。
Dr. Chika:逆に自覚がある方はこちらから何も言わなくても付けて頂けることが多いです。
でも今まで日焼け止めを付けたことがないという方はよく分からないですよね。
ですから、「日焼け止めのSPF(※)って何?、PA(※)って何?」「どういうのを付ければいいの、先生?」などと言ってこられない方には積極的に「付けてください」と言います。
基本的には「治療中は日焼けに注意しなければならない」という認識を持っていただくようにしています。これは医療レーザー治療全般を受ける方に共通だと思いますね。
(※)SPFとPA
SPF(サン・プロテクション・ファクター)といって「UVB」の防御レベルをあらわす基準です。最大値が50となっていますが、理論的には30あれば十分です(ちなみに50と比較して有意に高い場合はSPF50+と表示されます)。
PA(プロテクション・グレード・オブ・UVA)で「UVA」の防御レベルです。PA+、PA++、PA+++の3段階で表示されます。通常の場合ではPA++あれば十分です。
選び方としては、日常生活から軽い屋外のスポーツであれば「SPF30、PA++」、炎天下のスポーツ・海水浴・スキーであれば「SPF40-50、PA+++」がお勧めです。また汗をかく夏の時期は2-3時間おきに塗りなおすことをお勧めします。