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なぜ赤みが改善するのか?

Dr. Hiro:これまでは病気の分類と構造(原因)をお話し頂きましたので、次は「レーザー光線を当たるとなぜ皮膚血管腫で増えているような血管が少なくなるのか、もしくは完全になくなるのかというメカニズム」を教えて頂けますでしょうか。

Dr. Chika:患者さんによく聞かれるのは、「血管をつぶすということは普通の血管もつぶれないのか?」という質問をよく受けます。

Dr. Hiro:心配になりますよね。

Dr. Chika:シミの医療レーザー治療でも同じような質問を受けます。「メラニンにレーザー光線が作用して、シミが改善します」とお話をすると「普通のメラニンも取れたら肌が白くなってしまうのでは?」と心配される患者さんがいらっしゃいます。


しかし、そこはうまいことできています。病態(病気の原因・異常な構造という意味)のことを先ほどお話しましたが、皮膚血管腫では普通の毛細血管に比べて太い血管が異常に増殖していて、ある程度の密度があります。治療で使用するレーザー機器は、そのような血管へレーザー光線が選択的に反応するように波長が設定されています。


もっと詳しくお話しますと、レーザー光線はいきなり血管を消す訳ではありません。皮膚の表面から照射されたレーザー光線は、血管の中の流れている「赤血球の血色素(ヘモグロビン)」に最も吸収されます。


その結果、レーザー光線は熱エネルギーに変わり、血色素(ヘモグロビン)が煮えてしまう状態になります。そうすると血管の中で血液が熱の固まりのような状態になるので、血管の壁も熱で焼かれます。熱が冷めたときには血管が障害を受けて、血管として機能しなくなる状態になります。(図5)

Dr. Chika:このような医療レーザー治療の作用機序を病気の皮膚全体で見ると図6のようになります。レーザー光線は皮膚表面から照射され、最も近い部分から反応していきますので、回数を重ねるごとに深部へ到達できるようになります。

Dr. Chika:先程の「血管をつぶすということは普通の血管もつぶれないのか、とご質問をいただく」という件ですが、医療レーザー治療では皮膚の中で異常に増殖している血管が、まずレーザー光線を吸収します。


人間が生きていくために大事な血管、例えば皮膚で守らなければいけないより太い血管というのはもっとその奥にあります。医療レーザー治療では、より重要な血管を障害しない程度のところで効くというのが特長です。

Dr. Hiro:血管が異常に増えているのが病気の本体だけれども、血管をすぐに消し去るレーザー光線ではないということですね。

Dr. Chika:そうです。

Dr. Hiro:血管の中に通っている赤血球にレーザーの熱を蓄えさせて、それによって血管にダメージを与えるということですね。

Dr. Chika:そうです。だから血管が太すぎたりすれば、治療効果が不十分なときももちろんあるわけです。

Dr. Hiro:血管の中を流れる血液の速度が速すぎるという訳ですか?

Dr. Chika:太い血管に対して医療レーザー治療が反応しにくい原因として、「血液の流れが速すぎて十分な熱を血管へ与えられない」というのはよくいわれています。

Dr. Hiro:医療レーザー治療に適した血管の太さもある訳ですね。あとレーザーも皮膚の中へどこまでも入るわけではないですよね。

Dr. Chika:そうです。あまりに深い部分へは届かないです。一般的には真皮の中層ぐらいまでの深さで、大・中・小と大体3段階ぐらいに血管の太さを分ければ、小血管、中血管というものはよく反応します。治療とともに効きが悪くなってくるのは、やはり深い部分にある、太い血管です。


そういう皮膚血管腫に少しでも効きやすくするように、皮膚の表面を冷却し保護しながら強めに照射することもあります。またパルス幅(レーザー光線の照射時間)やレーザー光線の波長そのものを変更することによって、より効果的な治療ができるレーザー機器も開発されてきています。

Dr. Hiro:そうですね。今進歩している分野ですから、今後さらに期待が持てますね。わかりました。


このサイトをご覧の方は「どこまで自分の気になっている「赤あざ」や「赤ら顔」が改善するのだろうか?」というところが、一番気になっていると思います。今までに病気の説明と医療レーザー治療がどのように効くのかを説明していただきましたので、次に病気別の治療効果について、Dr. Chikaの率直なご意見をお願いします。

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