Top >  治療のメカニズム >  単純性血管腫への効果

単純性血管腫への効果

Dr. Hiro:次は、単純性血管腫についてお願いします。この血管腫は先ほどお話があったように、浅在性だけではないということすよね。正確に判断するためには、組織検査といって部分的に皮膚を採り病理標本を作製して、顕微鏡で見れば分かる訳です。


しかし、全員の方にその検査をやるのはちょっと不可能(※)なので見た目の判断である程度最初にお話をされているのだと思います。明らかにこれは浅在性単純性血管腫というときには、治療効果についてどのようにお話しされているのでしょうか?

(※)組織検査は、麻酔の注射をして皮膚を脂肪組織まで含めて採取します。くり抜くような形となるため、採取後、1〜2針縫う必要があります。

Dr. Chika:はい。毛細血管拡張症の浅い病型と同じように予想がつくと思いますけど、浅在性単純性血管腫(図2)に対する治療効果は非常に高いです。小児期にレーザーを希望されていた方で、明らかにこの部分は浅在性だなという場合は、やはり1〜2回で十分効果が得られていると思います。

先ほども、年齢が上がるにつれて血管が育つかのように、浅在性でも血管の太さがある程度太くなるものがあるとお話をしましたけよね。そうなると見た目の色的には浅在性かなと思っていても、そこの部分の治療が進むと、「実は、その奥に潜んでいた色があるというのが分かってくる」場合もあります。


やはり治療効果が上がりやすいのは浅在性のほうで、圧倒的に回数も少なくてすみます。ですから治療効果は大という判断はできるかと思います。


深在性(全層性)単純性血管腫(図3)、つまり真皮の深いところにまで血管が存在すものに関しては、回数のお話をしますと「3回~5回ぐらいまでを1クールとして治療を受けてみていただきたい」と考えています。

Dr. Hiro:5回というのは、レーザー光線を5回同じところに当てるということですね。

Dr. Chika:そうです。同じ場所に3回~5回ぐらいを目安に治療を受けてみていただいて、どのくらい赤みが薄れていくのかを診て、治療効果を判定します。


深在性の場合は、「改善のスピードが一時期止まったような状態」に一度なります。その様な場合は、実際の色調を肉眼で比較することが無理なので、前回と今回の写真を使っての判断となります。


そのような写真を見ながら患者さんと「ここまではストンストンと薄くなってきたのに、ここから先に行かないですね」、といった具合に話し合います。


先程も言いましたが、深在性単純性血管腫の医療レーザー治療ではこのような段階が必ず1回はきますので、そこで仕切り直しをします。ただしそこから先、効かないのかというとそうでなくて、やり方によっては効いていきます。

Dr. Hiro:そうなのですか?

Dr. Chika:しかし最終的に、深在性の方の場合は何もない肌色へ完全に改善するということは少ないです。「何かボヤッと赤みが感じられる」といった程度までの改善ということです。


女性の成人以降の方でしたらお化粧で十分カバーできると思います。以前はカバーマークなどを使われていた方が、普通のカバーで十分になったというお話が聞くことがよくあります。


そこまで改善した治療結果をご満足いただければいいのですけど、皆さん、良くなってくると完璧を期す傾向があります。

Dr. Hiro:そうですね。

Dr. Chika:例えば、お子様などはお化粧でカバーもできませんよね。そういう意味でご家族の期待というのも大きいので、最初の段階で深在性の可能性がある場合には、最終的な治療結果についてのお話もしています。

Dr. Hiro:それははっきり言えば「すべての患者さんが完全に消えるのではない」ということですね。

Dr. Chika:なかなか難しい問題ですが、期待は大きいです。やはり今までこのような治療をしたことがない方が「医療レーザー治療は効く」と聞けば、治療後は完全に肌色になるのだろうと期待しますよね。


しかし、そこには「何となく赤っぽいというような名残」が残るような状態で終わる方も少なからずいらっしゃる、ということを言っておかないといけないと思います。

Dr. Hiro:良く分かりました。ありがとうございました。

治療のメカニズム

関連エントリー

なぜ赤みが改善するのか?  /   毛細血管拡張症への効果  /   単純性血管腫への効果  /   いちご状血管腫への効果  /   治療効果を下げる原因とは  /